精進が足りない

足りることはない

奇分割と異分割の間の1対1対応

ブログを書く練習がてら軽く.

分割って?

正の整数 n の,いくつかの正の整数の和としての表し方を「分割」といい,個々の正の整数を「因子」という.たとえば,5 の分割は

{ \displaystyle
5 \\
4 + 1 \\
3 + 2 \\
3 + 1 + 1 \\
2 + 2 + 1 \\
2 + 1 + 1 + 1 \\
1 + 1 + 1 + 1 + 1 \\
}

7 通り.因子を並べ替えただけの分割(たとえば 1+1+2+3+33+1+2+1+3) は同一視する*1

分割の中でも特に,因子がすべて奇数のもの(e.g. 9+5+5+1)を「奇分割」,因子が相異なるもの(e.g. 5+9+6+3)を「異分割」と呼ぶ.実は任意の n について,n の奇分割と異分割は同数である.オイラーはこのことを母関数から示し,その式は「オイラーの分割恒等式」と名付けられているが,ここでは小学生でも理解できるよう,簡単な1対1対応を与えることにする.

1対1対応

分割 n=A_1+A_2+ \cdots +A_N をおく.

異分割について,すべての A_i=2^ k a (a は奇数) を 2^ k 個の a に置き換えて新たな(元と同じかもしれない)分割を作る操作 P (Partition)を考える(結果は明らかに奇分割である).たとえば,7+6+5+4+3(7)+(3+3)+(5)+(1+1+1+1)+(3),即ち7+5+3+3+3+1+1+1+1 となるし,7+3+1 は元のままである.

また,奇分割について,因子のうち奇数aの個数がK のとき,K=2^{k_1}+2^{k_2}+ \cdots +2^{k_L} と2進展開して,分割中の「K 個の a」を「2^{k_1} a, 2^{k_2} a, \cdots , 2^{k_L} a」に置き換えるという動作を任意の奇数に対して同時に行い,新たな分割を作る操作 U (Unite)を考える(結果はよく考えると異分割であるとわかる).たとえば,7+5+3+3+3+1+1+1+1 は,2^ 0 個の77に,2^ 0 個の55に,2^ 1+2^ 0 個の36+3に,2^ 2 個の14に置き換えて,7+6+5+4+3 になる.

このようにおくと, P と U は互いに逆の変換であり,1対1対応がついたことがわかる.\tag*{$\blacksquare$}

綺麗な1対1対応が存在するもっと簡単な例として,「因子がすべて k 以下の分割」と「因子が k 個以下の分割」がある.これは各自で考えてほしい.

*1:因子の順番も考慮するようなものは「合成」とか「結合」と呼ばれる別の概念となる.